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大血管の内皮細胞におけるGATA3の重要な役割
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LSBM血管グループの大学院生・宋海花(現・中国企業に勤務)らは、血管内皮細胞に発現する GATA 転写因子GATA2, 3, 6 のうち、微小血管内皮では GATA2 のみが発現するのに対し、大血管では GATA3 が最も強く発現していること、GATA3 siRNA から GATA3 によってTie2 の発現が担われていることを見出した。
GATA3 が内皮におけるAngiopoietin-Tie2 シグナルを介した遊走、炎症阻害、アポトーシス阻害に寄与していることを報告した。
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Song H, Suehiro J, Kanki Y, Kawai Y, Inoue K, Daida H, Yano K, Ohhashi T, Oettgen P, Aird WC, Kodama T, Minami T.
Critical role for GATA3 in mediating Tie2 expression and function in large vessel endothelial cells.
J Biol Chem. 2009 Oct 16;284(42):29109-24. Epub 2009 Aug 12.
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血管内皮細胞の中心的な活性化因子の発見
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内皮活性化(endothelial activation)は血管恒常性に寄与する重要なイベントであるが、病的環境下では内皮自身の機能不全をもたらし、生活習慣病の根底にある炎症、動脈硬化、腫瘍進展を誘発する。
LSBM血管グループの大学院生 (現・特任研究員)末弘らは内皮活性化のkey regulatorを探索すべく、VEGF、 Thrombin、TNF-α を作用させた臍帯静脈内皮細胞を用いてトランスクリプトーム解析を行い、early growth response(Egr)転写因子ファミリーであるEgr-1、Egr-3が誘導されることを見出した。なかでもEgr-3はVEGFを介した内皮活性化(増殖、遊走、管腔形成、単球接着)において中心的役割を果たし、Egr-3の発現を阻害することで、マウスにおける病的血管新生、固形腫瘍進展を抑制できることを明らかにした。
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Blood. 2009 Nov 23.
Vascular endothelial growth factor activation of endothelial cells is mediated by early growth response-3.
Suehiro JI, Hamakubo T, Kodama T, Aird WC, Minami T.
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大腸癌における3群のエピジェノタイプを同定
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ゲノムサイエンス分野では、大学院4年八木浩一、准教授金田篤志らが、大腸癌におけるDNAメチル化網羅的解析の結果から3群の異なるエピジェノタイプを同定し、Clin Cancer Res誌に報告した(published online 22 Dec 2009)。癌発生にはジェネティック異常の蓄積とエピジェネティック異常の蓄積が密接に関与する。例えばエピジェネティック異常の一つであるIgf2遺伝子インプリンティング消失 (Igf2 LOI)を持ったIgf2 LOIマウスでは、発癌剤Azoxymethane投与やApc遺伝子変異を持つMinマウスとの交配により、腸管腫瘍発症リスクが約2倍に上昇する。
本研究では大腸癌のエピジェネティック変異としてDNAメチル化異常を解析した。まず、大腸癌細胞株においてプロモーター領域がメチル化されている遺伝子をMeDIP-chip法にてゲノム網羅的に抽出。発現サイレンシング、及び脱メチル化による発現回復を、発現アレイにて解析し、得られたサイレンシング候補遺伝子から、新規メチル化マーカーを44個樹立した。 従来のマーカー16個と合わせた60領域についてメチル化状態をMALDI-TOF MS (MassARRAY)による質量分析法で定量解析した。大腸癌149症例は、メチル化情報を用いた2方向性階層的クラスタリングにより3つのエピジェノタイプに分類された。適切なエピジェノタイピングマーカーも確立した。
DNAメチル化以外に、癌遺伝子BRAF・KRAS変異、p53免疫染色、マイクロサテライト不安定性について解析した。強い相関が高メチル化群とBRAF遺伝子変異、中間メチル化群とKRAS遺伝子変異、にそれぞれ認められ、低メチル化群と合わせ、これらは大腸癌発生の異なる分子機構を示唆していると考えられた。 KRAS変異(+)の中間メチル化群症例は有意に予後が不良であり、今回のエピジェノタイピングは臨床的にも重要と思われる。
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Koichi Yagi, Kiwamu Akagi, Hiroshi Hayashi, Genta Nagae, Shingo Tsuji, Takayuki Isagawa, Yutaka Midorikawa, Yoji Nishimura, Hirohiko Sakamoto, Yasuyuki Seto, Hiroyuki Aburatani, & Atsushi Kaneda.
Three DNA methylation epigenotypes in human colorectal cancer.
Clin Cancer Res. Published Online (December 22, 2009), doi:10.1158/1078-0432.CCR-09-2006
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大腸癌エピジェノタイプ論文、Clin Cancer Res Highlightsに選ばれる
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大学院生の八木浩一らがonline版で昨年12月22日に報告していた大腸癌エピジェノタイプ論文が、2010年1月1日号のClin Cancer Res誌に、Highlights of This Issueとして選ばれた。
BRAF変異、KRAS変異とそれぞれ相関するDNAメチル化エピジェノタイプを明らかとした網羅的解析が評価された。 開発されたDNAメチル化マーカーは大腸癌の予後診断に臨床応用可能かもしれない、と結ばれており、研究者一同は励みに感じている。
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Highlights of This Issue.
Clin Cancer Res; 16(1):vii, 2010.
Koichi Yagi, Kiwamu Akagi, Hiroshi Hayashi, Genta Nagae, Shingo Tsuji, Takayuki Isagawa, Yutaka Midorikawa, Yoji Nishimura, Hirohiko Sakamoto, Yasuyuki Seto, Hiroyuki Aburatani, & Atsushi Kaneda.
Three DNA methylation epigenotypes in human colorectal cancer.
Clin Cancer Res; 16(1):21-33, 2010
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